『アナと雪の女王2』メイキング『イントゥ・ジ・アンノウン』。3話もまた思うことがあったので感想を書く。ここまできたらメイキング全話の感想を書いていこうかと思う。メイキング最終回までお付き合いいただけると幸いである。
- 「Show Yourself」あっさり存続
- エルサを呼ぶ声の主、やっと決まる
- まだあった!カットされた曲
- やっぱりアクションゲームのステージに見えるアートハラン
- ライダーのモデル
- バック監督の「今できること」
- 『アナ雪2』は監督らの私小説?
「Show Yourself」あっさり存続
今回衝撃だったのが「Show Yourself」の存続が冒頭であっさり決まったこと。というか既に決まっていた。
前回あれだけ引っ張っていろいろ臭わせたのはなんだったのかと。いや、私が深読みし過ぎただけかもしれないが。
私が前回どんな風に考えたのかはこちら。
mousoueigablog.com
あれ?胃が痛いおじさん(マーク氏)の活躍は?「Show Yourself」の冒頭は「ただいま」なんじゃ…?
その変が全く無いんですけどぉ!?
リー監督やロペス夫妻のアイディア、そしてマーク氏を始めとしたスタッフの力を結集して、あの素晴らしいシーンが生み出され、存続が決まるっていう流れでしょうそこは~!
これが一番衝撃だよぉもう~!私の考察が迷子のよう~…
いや、編集が入る以上はドキュメンタリーであっても半分はフィクションみたいなものである。もしかしたら、カットされた部分でいろいろな攻防があったかもしれない。
でも、もっと詳しく残す事になった理由を知りたい…!決定打はなんなの?お~しえて!その理由を~!
なんか痒いところに手が届かない面がありますよね、このドキュメンタリー。
私が期待しすぎたのだろうが、とりあえず「Show Yourself」の存続が決まって何よりである。
エルサを呼ぶ声の主、やっと決まる
ここでようやく声の主が「イドゥナ」だと決まる。どうやら、ロペス夫妻が「All Is Found(魔法の川の子守唄)」のリプライズを入れ込んできたことで大きく前進したようだ。アートハランでお母さんが待っていることにしたのも夫妻のアイディアのようである。しかし、エルサが見るのはイドゥナの姿だが、それは何かしらのメタファーだという発言は特に無し。
え?本当に呼んでたのはイドゥナその人ってことなの?霊魂が呼んでたの?さすがに?
エルサを呼んでいたのは彼女自身だという解釈(おそらくコンセプトではこのはず)が成り立たなくなってしまいそうだが…
まあ、イドゥナその人が呼んでいるというのは解釈の一つとしておきたいところだ。
声の主に関しては全員納得したのかは分からないが、リー監督は「ただいま」って要素があればなんでも良かったのかも。そこはリー監督自身がこうだっていう確固たるアイディアがあって欲しかったが…。私は「ただいま」にこだわっていたリー監督が「せや、ママや!」って突破口を開いてくれるのかと期待していたのに。
まだあった!カットされた曲
「Show Yourself」存続が決まった代わりといってはあれだが、本編からカットされた曲があったようだ。
それがマティアスとノーサルドラが歌う「See The Sky」という曲だ。どうやら、マティアスやノーサルドラについて説明する役割を担っていたようだが、その存在がかえってストーリーをややこしくしてしまい、案の定ストーリートラストでダメ出しをされてカットとなった。これにはマティアス役のスターリング・K・ブラウン氏も残念がっててかわいそうだったが。
それにしても、ストーリートラストで未だに「話についていけない」と言われるというのはどうなんだろうか…。
話の流れ的に歌のことのようだが(カットで繋いでる感はあるが)、やはりストーリーに対して言ってるようにも思う。
そして、「「Show Yourself」が残って良かったよ」「エルサが何者か知りたがるシーンをもっと前に入れたら?」って意見が出るあたり、『アナ雪』は外野の方が分かってそう疑惑が出てきたのだが…
どうも他作品のクリエイターの方が『アナ雪2』をどういう方向性で作ったらいいのか明確なものがありそうな気がする。外野なのでかつてのラセターのように「こうしなさい」とは言えないんだろうけど…
そこんところどうなんでしょうか?監督。
やっぱりアクションゲームのステージに見えるアートハラン
本編シーンや「THE ART OF アナと雪の女王2」のデザイン画で思ってはいたのだが、今回のメイキングで制作途中の3Dモデルが見れたことでよりそう思うようになった。
完全に「スーパーマリオ64」みたいなステージである。ゲームにしたら面白んじゃないかとちょっと思った。
ライダーのモデル
他に印象に残ったエピソードといえば、クリス・バック監督の亡くなった息子さんの件だろう。
やっぱりというか、キャラクターの一人であるライダーのモデルはバック監督の息子さんである故ライダー・バック氏だったようだ。
性格がどこまで似てるかは分からないが、キャラクターに息子さんを投影していると考えて見るとその思い入れが伺える。
バック監督の「今できること」
バック監督の息子さんへの想いはキャラクターにだけでは止まっていないのではないかと思う。
肉親の死というのは他人がどうこう言えるものではないほど重いものだ。
なので、これは私の憶測ということにしていただきたいが、まだバック監督は息子さんの死を完全には乗り越えられてはいない。だけど、いつかは乗り越えなければならない。
そんな想いが、終盤のアナに繋がるのでは。
エルサやオラフを失い、絶望に打ちひしがれるアナだが、それでもそれを受け入れて悲しみを抱えながらも「今できること」をする。
これは息子さんを亡くした悲しみを抱えながらも『アナ雪2』を作り上げたバック監督と重なって見えてくる。
「ディズニー映画は"前に進もう"という希望を与える」というバック監督の発言からしても、もしかしたらバック監督にとっての「今できること」が『アナ雪2』を作ることだったのかもしれない。
『アナ雪2』は監督らの私小説?
「The Next Right Thing(わたしにできること)」の制作エピソードも興味深い。そこでは、クリステン・ベルが「鬱だった時の自分と重なる」という証言や、リー監督がいじめに合っていた時の話などがこのシーンに込められているということが語られた。
これは前述のバック監督の件も含めて、ある意味『アナ雪2』は監督らの私小説と捉えることができるのではないだろうか。
「The Next Right Thing」は本編の大トリを担う上に、作中でそのメッセージ性も含めて最も重要な曲であると考えると、私はそのように思えてならなかった。
3話の感想はこんなところ。次回のタイトルは「大きな変更」だ。これは衝撃の事実が語られそうな気配。楽しみに待とうと思う。